第655号 電撃移籍発表の巻

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【聖火、二度も消える しかもランタンの火と予備のランタンの火まで消える】系クラブチームの左大文字ラクロスクラブは4月11日、淀川河川公園鳥飼下グラウンドにてかぶとむしの練習に参加させてもらった。
かぶとむし、LOHAS、WILD BOARS、左大文字とファンリーグのチームがだいたい集結。
「ラクロス半年ぶりやわーやっぱ生きてるって気がするわ」と言っているメンバーもいた。
4on3、5on4、6on6とみっちり練習を楽しみ朝9時には練習は解散。
快晴の天気の下各々家路についた。

この数日前、田中氏の同期でかぶとむしの宇田氏(京都大)が左大文字へ移籍すると電撃的に発表された。
「いやー左のほうが楽しそうだったので。あと田中君と一緒にやりたくて」と痺れるコメントを発表。
移籍第一回目の練習がかぶとむしとの合同練習という、移籍する意味皆無のまたまた痺れる展開に、今年も左大文字から目が離せない。
ともあれこれからもよろしくお願いします。

■今週の読書室

『金持ち父さん貧乏父さん』
マルチ商法の勧誘に使われることで一部の人に有名なこの本を読んでみた。

作者の実の父は四年制大学を二年で卒業、博士号を取得してその後スタンフォード、シカゴ、ノースウェスタン大学に通い、その後教師をしている。
「学校に行っていい成績を取りなさい。そうすれば安定した仕事につける」がモットーである。
この父親が貧乏父さんである。
給料もそこそこもらっているはずなのに、毎月支払いの請求書に追われる日々を送っている。
小学校区の関係から、作者は金持ちが多い地区の小学校に通うことになった。
そこで作者は家が貧乏であるとの核心を抱き始める。
ところが作者が9歳のある日、友人の父親と知り合った。
会社を複数経営し、悠々自適な生活を送っている。
彼が金持ち父さんとなる。
金持ち父さんにどうやったら金持ちになれるのかを聞くことからこの本は始まる。

「よし、私からの提案というのはこうだ。それを教えてあげるのはかまわない。だが、学校の授業のようには教えない。きみたちは私のために働くんだ。そうしたら金儲けの方法を教えてあげる。私のために働かないというのなら教えない。きみたちが働けば、速く教えてあげることができる。きみたちが学校の授業のように何もしないでただ座って聞いていたのでは、私にとっても時間のむだだからね。これが私の提案だ。私の言うとおりにするかしないかはきみたちしだいだ」
「あの……その前に質問してもいいですか?」
「いや、だめだ。いますぐ決めるんだ。私は忙しいんだ。むだにする時間はない。今ここで決められないのなら、どっちにしても金儲けの方法をマスターするのは無理だ。チャンスは来たと思ったらすぐに行ってしまう。素早く決断すべき時がいつかを知るのはとても大切なことなんだ。いまきみたちには待っていたチャンスがやってきた。十秒以内に決めないと、この授業は終わってしまうよ」
「ぼく、やります」
「よし、あと十分ぐらいでマーチンさんが来る。私との仕事の話が終わったら、マーチンさんに店に連れて行ってもらって働き始めるんだ。一時間につき十セント払う。毎週土曜日に三時間ずつ働くんだ」
「でも、今日は僕、野球の試合があるんです」
「やるか、やらないかどっちなんだ」
「やります」

見てわかるが、終始こんな感じで文章がかなり冗長なのである。
アメリカの自己啓発本は全体的にこの傾向があるし、翻訳の問題ももちろんあるとは思うが。
そして作者は時給10セントの仕事(おそらくその後の文脈から判断するに時給100円ぐらいの感覚)を通じて様々なことを学び、その後土地の転売を通じて億万長者となった。
毎日悠々自適で貧乏父さんみたいにならなくてよかったわ、チャンチャンという話が延々260ページほど続く。
いい給料をもらっているんだがからその範囲内でつつましく暮らしていこうとか、無駄な出費を省いていこうとか言う発想は全くなく、終始「給料をもらう仕事は非効率だ、不労所得こそが正義」という論拠に終始している。
それはそれで別にいいのだが、その具体的論拠に乏しく、かすかにポルシェがどーたらとかいう記述がみられるだけだ。
そもそも物欲があまりない人には響くものはない。

作者は貧乏父さんのような生活をラット・レースと呼んでいる。
ハムスターが車輪でくるくる回っているあれである。
作者は貧乏父さんの生き方を心底馬鹿にしている。
だが私は作者は通常のラット・レースから抜け出し、土地ころがしという別のラット・レースにはまり込んだという気がしてならない。
なぜならば前述の「私は忙しいんだ。むだにする時間はない」の部分だ。
もちろんはったりもあると思うが、悠々自適な生活をしているのならなぜこんなに急かすのだろうかという気がする。
結局あんた今でもあくせく働いてるやんて。

ちなみに怪しい勧誘でもすぐに決めさせるのが定石なようで、ここの部分をまねているらしい。
にしては文章が冗長だが。
そしてこの本を読ませるらしい。
しかしながらこの勧誘に引っかかる人がこの本を読了できるのかがはなはだ疑問である。
というぐらい読むのが苦痛だった。
その分読後にさわやかさを感じることができるだろう。

これだけだと私が一方的に自分の意見を言っているだけだと思われるので、この本に関して話している有名どころのYoutube動画を張っておく。

中田敦彦のYouTube大学 – NAKATA UNIVERSITY
【金持ち父さん①】お金持ちになる手順

おすすめ度:★★☆☆☆(2/5)

追記
『FX戦士くるみちゃん』というウェブ漫画がある。
1998年の外為法改正によりFXが解禁された。
当時各国の金利に比べて日本の金利は圧倒的に低く、円を借りて外国通貨を買い、その金利差(スワップという)を稼ぐという円キャリートレードが盛んになる。
一般の主婦やサラリーマンまでがFXに手を出し、FXブームが到来する。
当時昼の12時台に何故か何の金融イベントもないのに円安になる現象が多々見られた。
その原因を分析すると、サラリーマンが昼休みにFXをすることにより円安になっていることが分かった。
彼らは日本人の代表姓をとって『ミセス・ワタナベ』と呼ばれた。

主人公・くるみの母親も例にもれずFXをやっていた。
ところがそこにやってきたのが2009年のリーマンショックである。
くるみの母親は2000万円のロスカットを食らった。
その原資はもちろん夫婦の預金と借金、これがばれたら離婚どころの騒ぎではない。
だが母親はその心労でそのまま亡くなってしまう。
くるみはそれを一部始終知ってしまう。
彼女は誓う。「私がFXで母親の仇を取る」と。

この作品、絵がかなりあれなのだが、話が面白いと某掲示板やSNSで話題になっていた。
私も楽しみにしていたのだが、ある日突然休載が発表された。
なんや収拾つかなくなったんか?と思いきや、なんとプロの手により商業誌に連載されることとなった。
KADOKAWAコミックフラッパーにて連載が開始されたらしい。
WEB版はこちら→http://demk.net/fxsensikurumi.html
是非前述の『金持ち父さん貧乏父さん』とセットで見てほしい。
ただし、この漫画で彼女たちがしているのは投資ではなく100パーセントギャンブルの投機である。
投資と投機は違うので一緒くたにはできないし、『金持ち父さん貧乏父さん』にはFXをしろなんて一言も書かれていない。
ただ面白いことにYoutuberのまこなり社長はこの本を読んでFXを始めたらしい。

アメリカの地価や株価は基本的にずっと上昇し続けている傾向にあるので、『投資先』としてはすこぶる有望である。
ある投資先の利回りは、アメリカの株価指数の上昇率より良いかどうかで判断される。
換言すれば『金持ち父さん貧乏父さん』の作者はそれに乗っただけで大したことはないということもできる。
アメリカには少ない給料の中から少しずつ株を買い、億万長者になったアルバイトのコンビニ店員なんかいくらでもいる。

私の祖父は中小企業の社長だったのだが、またまた例にもれずFXをやっていた。
祖父はまたまた豪ドル円を買いまくっていた。
そこで稼いだお金は会社の運転資金に使っていたらしい。
そして案の定リーマンショックで1500万円のロスカットを食らったらしい。
祖父は末期がんだった。そのまま翌年亡くなった。
今思い返せば本当に『FX戦士くるみちゃん』まんまである。
リーマンショックがなかったらもう1年か2年生きられたのかなあ、なんて思いながらこの文章を書いている。

旅行記ばっかだと飽きるかと思うので、今週の南米旅行記はお休み。
次回はまた旅行記です。

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